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執筆者の写真いえ

家コラム #妄想家

マニアックな土地に家を埋めてみる

 




 今回ご紹介するのは弊社が所有している謎の売地物件のひとつ

「白鳥台の97坪10万円」です。


 室蘭には白鳥台という1960年代に開発された約55万坪もの広大なニュータウンが

あります。宅地や団地が連なるとある一角に、97坪の平らな空白地を保有しているのですが、なぜか一向に売れません。


 現地に行ってみると理由がわかります。道路に沿ってそびえたつ擁壁。

朽ち果てた階段が約15段。あれ、元々何か建ってたの? 売り地となった経緯もわからず、

なんだか可哀想になってきたので売値を10万円にしました。



坪単価1,031円。農地並み。


 しばらく様子を見ましたが安すぎる為に反応といえば「事故物件ですか?」の一言。

しかし一旦下げた値段はもう上げられません。最後の砦の妄想不動産で、架空の建物を乗せてあげることにしました。


 駐車場は必要なので擁壁は掘ります。階段15段を上るのは面倒なので、もう家ごと土地に埋めることにしました。


 そして普通の間取りすら考えることが出来ない私は、何かモチーフを探して

それに間取りをはめ込むことにします。何が良いかな......そう考えると、

ここが白鳥台なのだということを建物の中でも表現したくなりました。


 私は室蘭市民ですが白鳥台へ行く機会は少なく、よくこの街で迷います。

決して方向音痴ではないのですが、ひどい時は来た道を戻ることすらできません。

街を設計したのは戦後日本の近代都市計画学の創始者で、東大の故・高山栄華名誉教授。

当時の人口増への対応と激しい地形を意識した設計で、今の姿となりました。

碁盤の目で分かりやすい住宅地など全く興味なしと言わんばかりです。


 この他にないマニアックさが、もしかしたらこの先売りになるのかも。

地図をよく見ると集積回路のようで段々と楽しくなって子供の頃に書いたオリジナル迷路を

思い出すのでした。そうして2 丁目エリアの道路をなぞってみたら、何だか平屋に見えてきて、そのまま28 坪くらいの間取りが完成。擁壁 in the house いや、house in the 擁壁。

白鳥台 in 白鳥台。ここの道路は本当にクリエイティブです。

 



WRITER 

吉田忠志(よしだただし)

内池建設のいち社員 宅地建物取引士

その後、無事のこの土地は売却できました

なんてことはなく

絶賛売り出し中です。

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